アート旅/旅アート


by kinoppi-cxb
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今年は秋が長かった。時に小春日和な日もありなかなか冬の到来を感じられなかったが、ここ数日で急に冷え込んできた。寒いのはニガテだし、日が暮れるのも早くすぐに暗くなるのも好きではない。が、ピンと張りつめた空気感や、太陽が早く沈むゆえの早い時間からの静寂の始まりは、嫌いではない。暗くなるのが早いと、活動が鈍ったり停止したりする分、冬明けに備えて身体や脳ミソが準備するような感覚になるのが、生き物の本能的な感じがして心地よい。
……という気持ちを漠然と前々からもっていたのだが、今回、武内貴子さんの作品を見て、また話を聞いて合点がいった。

11月20日にアーティスト・トークが開催。武内さんは精力的に作品を制作・発表しているアーティスト。彼女の作品はこれまで何度も見てきたし、本人とも面識があるけれど、実はコンセプトなどきちんと話を聞くのは初めてだった。
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天井から吊り下がる無数の赤い布の「結び目」のレイヤー(層)。少し横から眺めると、下部は半円の弧を描く。毎年12月にやってくる「冬至」と、キリストの誕生日である「12月25日」をテーマにしたという作品。半円の弧は、地平線から半分だけ顔をのぞかせる太陽の形と同じだ。朝日が希望を象徴するのは言わずもがな、武内は夕陽も「陽が沈んだら、明日がやってくる」と未来へ向かうイメージと話す。チラシに書かれている作品の説明によると、冬至は「冬が終わり、春が来ることを告げる日とされている」、そして12月25日は「“一度は闇に覆われかけた世界に再び光が生まれ変わること”を象徴する日」なのだとか。
私の解釈を一言で表すならば「再生」だ。「リセット」と言ってもいいかもしれない。例えば樹が、一年を通して芽を出し、花を咲かせ、実を実らせ、葉を茂らせ、葉を散らせ、そしてまた芽吹く……と毎年リセットしながらその生命のサイクル繰り返し、ある一定の時期まで、強く、たくましく育っていくように、人間も冬の時期にリセットしているのかもしれない。そう感じさせられた。

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無数の布に紛れところどころに赤いリボンが結ばれている。ピシッとした「結び」のなかにある「ほっ」とする「間」。














トークでは、作品の素材とする布に蝋を染み込ませる工程、複数の意味をもつ「結ぶ」という言葉への想いと表現、「結」を基本に展示空間・場所・テーマによって変化を遂げる造形や色……などについて、過去作品とも照らし合わせながら話してくれた。
ちなみに今回の「赤」は、太陽やクリスマスをイメージさせる狙いはあるものの、そもそも彼女が原点から大切にしてきた色でもある。武内さんは、学生時代から着物の帯の「結び」に美を強く感じ、その着物姿の女性をさらに美しくするのが紅の「赤」であり、その色に強く惹かれているという。赤は時には強すぎてえぐくなることもあるが、一方で、冬の寒い今の時期には温かみと生命力を強く感じさせる。また、ファッションビルの中では、空間の演出・彩りにはとても効果的な色だ。

トークの中で、なるほどと思ったエピソード。白い結びの作品を青森で発表したときの話。地元の人は「ボタ雪のよう」と言う人が多かったのに対し、同じ作品を北九州の人が見たときに「素麺を干しているみたい」と言ったそうだ。この事に対し、「土地によって見る人の印象が異なっていた。作品を見るとき、人は自分の経験に重ねるんでしょう」と言った武内さんの解釈に共感した。ちなみに私は彼女の作品を見るたび、神社をイメージする。まぁ、単純におみくじのイメージと結びつけいるんだろうけど……つくづく、日本の国に生まれた人である。日本文化をまったく知らない人と武内さんの作品を一緒に見てみたくなった。

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会場は3~5階の吹き抜け。4階、5階からも作品を眺めてみよう。違う表情を見せてくれる。















九州アートゲート 博多アートステージVol.3
武内貴子

2011/11/18~12/25
会場:アミュプラザ博多3階センターコート(吹き抜け)
詳細はコチラ
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by kinoppi-cxb | 2011-11-26 00:41 | 展覧会レビュー